心因性腰痛へのカイロプラクティック治療

腰痛の半分(非特異的腰痛の3分の2)は家庭や仕事からくる心理的ストレス・不安・鬱(うつ)などの心理的・社会的要因が関わっているとされます。カイロプラクティックは神経の流れを改善することを目的とする治療法ですので、脳と神経のはたらきが大きくかかわっている心因性腰痛に効果があります。

神経のはたらき

1.神経の種類

では私たちの身体ではどんな神経がはたらいているのでしょうか。

 

まず神経は大きく二つに分類されます。

1)脊髄神経 2)自律神経

です。

 

1)脊髄神経とは

足や手を動かす、痛みを感じる、聞く、見る。このような時の情報を伝えているのが脊髄神経です。一言でいえば、自分の意志でコントロールできる神経です。

 

2)自律神経とは

脊髄神経とは反対に、無意識のうちに体内の環境をコントロールしてくれている神経です。たとえば、暑いときに汗をかく、涙を流す、寝ていても呼吸が止まらない、血圧をコントロールしているのは自律神経です。

 

そしてこの神経は二つに分類されます。

交感神経」と「副交感神経」です。

2.交感神経と副交感神経とは

交感神経と副交感神経は、シーソーのようにバランスを変えながら体内ではたらいています。

 

「交感神経」は、活発に活動するときに働きます。また興奮したり、ストレスを感じるときにも働く神経です。この神経が働くと、血圧が上がる、末梢の血行が悪くなる、内臓の働きが低下する、筋肉が緊張する、といったことが起こります。通常は朝起きた時から日中にかけて活動が高まり、夕方以降になると低下します。

 

「副交感神経」は、リラックスしている時、睡眠時に働きます。この神経が働くと、血圧が下がる、血行が良くなる、内臓の働きが高まる、筋肉が緩む、といったことが起こります。通常は夕方から夜にかけて活動が高まります。また、食後食べたものを消化吸収する時にも働きます。

 

心因性腰痛のメカニズムとは

痛みの悪循環が起こる

まず腰を何かしらの原因で痛めた場合、痛いと感じさせるのは脊髄神経です。

 

例えば、小さな指の切り傷であれば大抵の場合自然に治るでしょう。

でも腰痛の場合、痛みを起こした何かしらの原因を取り除かない限り痛みが続くことになります。

 

その原因が取り除かれず痛みを繰り返していると、脳がストレスを感じて、今度は自律神経の交感神経が過剰に働きます。交感神経が働くことにより筋肉の緊張、血行不良が起こり、更なる痛みを引き起こすのです。痛みの悪循環です。

 

また仕事や家庭など日々の様々なストレスが重なることで、更に痛みを感じることもあります。

 

これが、腰痛に心因性が関わっていると言われる理由です。

心因性腰痛はストレスから自律神経活動が乱れて起こることがあります

痛みの抑制が効かなくなる

また、人間には痛みをコントロールする仕組みが働いています。ドーパミンという脳内物質が痛みを感じにくくして、身を守っているのです。しかし、ストレスなでで脳内物質の出方が乱れると痛みをより強く感じるようになります。

カイロプラクティックの効果

カイロプラクティックでは検査によって神経系に悪影響を与えている背骨を特定し調整します。やむくもに背骨をボキボキと矯正するわけではありません。

 

カイロプラクティックの検査法

 

その効果として

 

1.交感神経優位になっている自律神経のはたらきを改善する

心因性腰痛では痛みの悪循環(上記参照)が起こっています。

カイロプラクティックによって背骨と背骨の間の関節が刺激されると神経を通して脳に信号が伝わります。大脳の指示によって交感神経のはたらきが抑えられます。これによって痛みの悪循環を断ち切ります。

 

 

2.脳の痛みを抑制するはたらきを高める

心因性腰痛では健康な場合に比べ同じ刺激でもより強く痛みを感じる現象が起こっています。

 

背骨の調整による刺激が脳に伝わると痛みを抑える仕組みが働きます。これによって痛みを軽減することができます。

 

3.関節・筋肉・神経からの痛みを減らしていくことで、腰痛への恐怖感を減らしていく

痛みへの恐怖感によって運動量は減り、血行も悪くなります。また恐怖感は心理的ストレスとして痛みの悪循環に つながっていきます。

カイロプラクティックで痛みが減っていくことを実感しておくことで、自分の身体に自信をもち恐怖感をなくしていくことができます。

 

 

また心因性腰痛には軽い運動も有効です。当院では、有酸素運動、体操、ストレッチなどのアドバイスを行います。